今日は、ライカの視点で、一日を追ってみましょう。
あっしがライカです。
お初にお目にかかりやす。
あっしはジョヴォビッチ家に飼われて、もうすぐ1年でさあ。
まず、一日の始まりは新聞からですぜ。
あいにく、あっしは読めやせんが、これにはジーョホーってやつが
いっぱい詰まってるんでしょう?
(奥さんには、ライカったら、そんな古い新聞、今頃持ってこないで、って
怒られやしたが、ジョーホーってやつは、古いといけないんで?)
朝はダンナさんと一緒に、近所の見回りを欠かしませんぜ。
行きますぜ、ダンナさん。
昨夜も遅くまで散歩したじゃないか、ってダンナさんはおっしゃいますが
あっしらが、街の安全を守らないで、どうしやす?
街にはキケンがいっぱい、なんですぜ。
見廻りのあとは、ダンナさんにプールに連れてきてもらいやした。
プール大好き!
・・・いやあ、これも水練の一種なんですぜ。
誰かが川に落ちたときに、お助けするのも、あっしら、飼い犬の役目。
いざ、そのときのために、今から、みっちり鍛錬を積んでおくんでさあ。
ダンナさんは人間なのに、池のカエルみたいな泳ぎ方をされてやす・・・。
犬掻きは、難しいですか。あんがい簡単ですぜ。
午後は、庭でボールを追いかけて、今度は足の鍛錬でさあ。
ボールのやつったら、急に止まりやがるんで、
あっしは、滑って転んじまいやしたぜ。
もう、こいつとは一生、遊びやせん。
急に態度をひるがえすなんて、まったく、男の風上にも置けねえ。
奥さんの妹、お嬢ちゃんは、学校から帰ってくると、
たまに、あっしと遊んでくださるんで。
芸を覚えるのも一苦労ですわ。
これがほんとに、難しいシロモンで・・・。なかなか覚えられねえ。
嬢ちゃんは、もう宿題やらなきゃ、って言って すぐに、家に入ってしまいやした。
あっしの覚えが悪くて、すまねえ、嬢ちゃん。
何か、あっしにも宿題の手伝いができればと、
嬢ちゃんの様子を見にきやした。
嬢ちゃん、あっしは、さんすうってのが得意ですぜ。
棒がいっぽん、にほん、ってちゃんと数えられますぜ。
あっしにも分からない難しい宿題でやしたか。
せめて、そばにいやしょうか?
え? 気が散る?
あっ、嬢ちゃん、宿題は終わったんで?
ううっ、持病のシャクが・・・
ライカ渾身の演技、嬢ちゃんには通じやせんでした。
ダンナさん、一人寝はさびしいでしょう?
あっしでよければ一緒に・・・
ベッドから追い出されちまいました。
夜中、ボールのやつが、庭にぽつんと、さびしく転がってやした。
もう十分、反省したようですし、
また明日は、こいつに付き合ってやろうかと思いやす。
明日こそは、うまい肉を腹いっぱい、食ってみたいもんですねえ。